第七観測所

SFとかゲームの文章が多め。映画も観ます。

俺といつもの3人

いつもの仕事帰りのバス停。小雨がぱらつく中ようやくたどり着くと、そこにはいつもの顔ぶれがそろっていた。

 

いつもぴょこんとあいさつをくれるショートカットの女性。ごま塩頭のサラリーマン。やや褐色の肌の細身の若い女性。いつも全員がそろうわけではないが、俺を入れて4人がこれから終点の駅前まで一緒のバスに揺られることになる。

 

4人の間に「ほぼ毎日同じバスに乗る」以外の共通点はないし、顔見知りではあるが言葉を交わすことはない。これからも多分ないだろう。だが、バスが来るいつもの時間に4人がそろっていないと、ほかの乗客が多くても(多分俺だけだろうが)ちょっと気になる。逆に全員いるとちょっと「よし」という気分になる。

 

今まで気が付かなかっただけで、こんな関係にあった人たちはたくさんいるのだろう。そしてこの4人もそう遠くない将来、それぞれの事情でそろわないのが当たり前になっていくはずだ。その前に、一度だけでいいからこの人たちと話をしてみたい。きっかけもないし、実際には無理だと分かっていてもそんなことを考えてしまう自分がいる。

 

どうだろうか。ほかのお三方、俺と同じことを考えたことはありませんか。もしもあったら、お茶でもいかが。